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荒んだ心を洗い流してくれる気がする雨の日が好きだった。
雨音に耳を傾けると
何故か心が落ち着いた。
あんなにも乱れていたのに。
今では雨の日は退屈で嫌い。
窓から雨を眺めると
どこか静かな街並みの物悲しさ滲む。
昔も今も僕は僕。
一人で過ごす事の至福も静寂の耳鳴りに遮られる。
寂しさに縛られて
あんなに邪魔だった過去の中に愛おしさが湧いてくる。
そして今の自分に無いものを見つけて
刻々と進む時間と共に動き出す。
常に時間は止まらない。
景色が立ち止まる事すら許してはくれない。
そして少しずつ変わってゆく。
色々な表情を出して行くかの様に。
果たして、それは必然なのか。
与えられた運命にぶら下がったままでいるより自ら切り開き進みたい。
そう思うと雨音に窮屈さを感じる。
踏み出そうとしなかった明日へ歩き出せば昨日とは違う雲がある。
次々と形を変えていく雲を眺めて
この不安定なぎこちなさを表しながら人も街もみんな生きているんだ。
少しずつ変わりゆく世界の片隅で。