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陽炎ゆらゆら。
蝉がシャーシャー。
この先の視界も少しずつ歪み出す。
誰かの声が聞こえる気がする。
風鈴の音色に紛れる透明な風が運んできた
入道雲が膨れ上がっていく。
泣き出しそうな空の下
暑さに喘ぐ人々。
夕立前の街は慌ただしく動き出す。
豪雨になったら大変だ。
夜の花火を心待ちに通り過ぎる雨を見送る。
杞憂に済んで良かったな、と。
こうして思い出が積み重なり
暑さによる苦しさも
未来の自分が見て笑える様 記憶の1ページに向日葵を描いた。
そしてこれまで描いてきた向日葵畑の中で
今でも 太陽を探してる。
再び目の前に陽炎が揺らめき
この花が枯れないように溶ける意識の中で彷徨い歩く。
蜃気楼の中に自分が入っていくようだ。
手を伸ばしても届かないオアシス 一向に辿り着けないユートピア。
それでも歩き続ける。
うだるような夢 志までは焼き尽くせない。
描いた向日葵はいつまでも枯れない。