夕暮れ

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空から陽が落ち、空が燈に染まる時

切なさにも寂しさにも似た感情が胸を刺す事の懐かしい痛み。

もう幾らもしない内に世界は闇に包まれる。

静かに伸びた影が広がる速さに飲まれる前に今をしっかり見よう。

今、この瞬間の奇跡を胸に焼き付けよう。

何度も繰り返し大地を焼き付ける色は 何時しか この心にまで焼き付いていた。

それが未来の自分を装飾する。

そして、ふと 足を止めた時に今日へ戻って来るのだろう。

そこにある不思議な安心感。

きっと、この今も、いつかの夕日の中にある思い出の1コマ。

そうして積み重ねられたゆとりが人を豊かにもする。

僕を毎日この色で包むのは 帰りたくなるようにかも知れない。

そして焼き付けられた色が道標となるのだろう。

迷ったら教えてくれる 立ち止まる優しさ。

それを感じる事が出来る僅かな時間。

ほんの一握りの幸福と共にポケットの中にしまっておこう。

いつの日か、その小さな灯が大きな陽となる様に。

キラキラ光る水面は まるで宝石箱の中みたいで

見続けていたい思いと、そっと閉じてしまいたくなる衝動の狭間で揺れる。

鼻先をくすぐる暖かな香りで 我に返ると家路を辿る穏やかさ。

いつ、何処に居ても帰る事が出来る。

そんな嬉しい気持ちは 夜の訪れを忘れさせてくれた。

そして人は優しくなれる。

この夕焼けのように…

菊千代 について

きくちよと申します。
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